第二日目/第三分科会(於:アスパ アカデミーホール)

 第3分科会(座長:富山)においては,以下の各項目について活発な意見交流が行われました。
  生産と販売
   1 伝統文化の維持
   2 手漉き和紙と価格
   3 新時代の和紙と工芸品の研究
   4 生産者と消費者
   5 未来の紙の用途は何か

 


第3分科会(生産と販売)報告書 (座長 富山)

 



「1. 伝統文化の維持」「2.手漉き和紙と価格」「3.新時代の和紙と工芸品の研究」「4.生産者と消費者」「5.未来の紙の用途は何か」……以上五つのテーマに分けられていたが、どのテーマに絞るというのではなく、生産と販売の現状・課題・提案そして今後の紙の在り方について産地ごとに発表していただく形式をとった。

まず「生産者側から出た意見」として、

・和紙の魅力や作業工程等を詳しく消費者にもっと紹介するべきである。その際、マスコミ・パンコン・イベント等を通じて行うのはもちろんのこと、各個人からも何らかの和紙に関する情報を提供してもらう。

・ ここ数十年で社会の状況が激変したことを受けて、為替の関係上、海外の安い紙が大量輸入され、また、国民の生活様式もよりデジタル化が進み、和紙を使用する機会が減少した。よって和紙の売れ行きが落ち込んでしまっている現状は否定できない。いかにして和紙の利用者を増やすのかが難しい問題である。

・失敗を恐れずにさまざまな新商品の開発に取り組むことが重要である。産地ごとの特徴を活かして、オンリーワンの和紙を自信を持って生産するべきで、価格は高くなっても構わない覚悟が大切である。必ずしも安いものが売れるとは限らない。

・消費者との関係も変わってきている。消費者が求める和紙を生産するだけでなく、これからはある特定の職人が漉いた和紙を消費者がどう使いこなすかというものになりつつある。

・著名なマンガ家やさまざまな分野で活躍している方々とのタイアップでより面白い商品を開発することも期待が持てる。

・何よりも生産者自身が楽しんで、チャレンジすることが大切である。

・全国を紙漉き体験のキャラバン隊として回ることも必要かもしれない。


次に「販売者側からの意見」として、

・取り扱っている和紙の産地・名称などをもっと明確に表記するべきである。

・出来るだけ沢山の種類を取り扱うことが大切である。和紙を販売している場所を消費者にもっとアピールすると良い。

・和紙について勉強会を開き、知識を深めて、消費者に納得のいく説明ができるようにする必要がある。

・和紙を展示して、消費者に実際に触れてもらい、理解してもらう努力が必要である。

・未来の後継者を育てる意味でも、小・中学校での実演や授県などで和紙を利用できる環境をつくる。

・生産者ともっと連絡を取り合い、情報を交換する。

・消費者の立場に立って、買っていただく前に実物を使ってもらうなどのサービス向上を心がける。

 

 まとめとしましては、生産者にしても、販売者にしても従来のことをそのまましていてはだめであろうということです。たとえば、生産者側は自社の特徴を活かした新規性のある製品作りをし、販売者側はより多くの情報や、より正確な知識を消費者に提供していく。そして、生産者、販売者が互いに連絡を取り合って、情報交換をしながらより良いサービスを消費者に提供することが、売上の増大、販路拡大につながるのではないでしょうか。


 以上が第三分科会での報告です。

 


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