十年に及ぶ制作期間を経て,ついに『日本の心 二〇〇〇年紀 和紙總鑑』が上梓されました。全国手すき和紙連合会におきましては,成子哲郎会長をはじめ多くの会員が,発刊に至るまで和紙委員会のメンバーとして奔走いたしました。
ここでは,「日本の心と技がなせる 世界に誇るべき日本の文化」ともいえる手すき和紙の集大成ともいえる『日本の心 二〇〇〇年紀 和紙總鑑』についてご紹介いたします。
「発刊にあたって」 二OOO年紀和紙委員会実行雲貝長・石川満夫
「和紙には日本の姿が見える(柳宗悦)」
豊かな自然の中から生み出され、清らかで温かく、しかも味わい溢れる風情をもつ和紙は、日本の生活文化にしっかりと根づき、日本の心を今に伝えながら、人々の薯らしに安らぎと潤いをもたらしてくれています。
紙づくりが日本へ伝えられて千数百年、紙匠たちは、良い歴史の変遷の中にあって紙漉きを生業(なりわい)とすることを誇りとし、伝統の技を受け継ぎ、研ぎ澄まし、新しい技を編み出して、それぞれの詩代が求める「用」と「美」に応える紙を漉き立ててきました。
二千年紀―、それは、まさに世紀の大転換の幕開けです。この千載一遇の節目に立ち会った事を時の啓示とし、『日本の心 二〇〇〇年紀 和紙總鑑」を発刊するという一大事業を立ち上げました。二十世紀に生きた・証しを、伝統産業の蓄積という形で未来に残そうというものです。
『和紙總鑑』には、北は北海道から南は沖縄まで、全国各地の紙匠が参加され、長い修練を経た手技で、手間をいとわず、一枚一枚精魂こめて漉き立てていただきました。それぞれの風土か生かされた、味わい深い、まさに和の心そのものといえる七百五十余点の和紙を収録することかできました。加えて特殊技法を駆使した機械漉き和紙二百五十余点を収集し、素紙・加工紙一千点に及ぶ集大成となりました。
和紙は日本の風土と日本人の豊かな感性によって育まれ、磨かれて生活の中に息づいてきたものであり、また無限の可能性と魅力をあわせ持っています。
願わくは、この『和紙總鑑』が、書架の一隅に眠ることなく、日常の座右にあって和紙と人とのかかわりをより親密なものとし、新たな和紙の「用」の掘り起こしに寄与するとともに、新しい時代に即応する創造性豊かな和紙づくりに活用されて、滔々と未来へ流れる和紙文化の源泉となりうれば、と念じております。
全国手すき和紙連合会会長・成子哲郎のコメント
中国大陸より伝わった紙作りは洗練されながら日本全国に広まっていき、日本文化の礎を担ってきました。長い年月をかけて受け継がれ、今に残る和紙の集大成として限定和紙本が創刊されるに至りました。
手漉き紙はもとより機械漉き紙、加工紙なども含め様々なる和紙が収集されており、紙を知るための貴重な参考文献となり得るものと考えております。
『日本の心 二〇〇〇年紀 和紙總鑑』の序文より(白川静氏)
この書には、全国各地の和紙が集められており、その長い伝統の今のあり方が示されている。ここには「日本の心」の伝統と、そのさまざまな姿がある。新しい和紙の文化は、このような歴史的な展望の上に立って、またその新しい展開を期待することができるであろう。
『日本の心 二〇〇〇年紀 和紙總鑑』の内容と特長
一、 日本の和紙は文化遺産ではありません。
一五〇〇年の時空を超えて今に伝承され、漉き続けられている日本の文化資産です。
二、誰も真似られない、そして追随を許さない
世界に冠たる日本の文化、和紙總鑑です。
三、次の一〇〇年後、このようなコレクションは制作できるのでしょうか。
恐らくそれは不可能でしょう。正に空前絶後の総集編です。
四、西暦二〇〇〇年紀
その内容は
・手漉き和紙(産地での加工紙を含む) 六一八点
・その他の加工紙 一一五点
・機械漉き和紙 三二五点
合計 一〇五八点
五、題字 守屋 弘斎(東大寺長老)
六、紙漉き歌
今までに唄われて来た紙漉き歌の殆どを網羅して掲載しています。
・編著 阪田美枝
・書 綾村坦園(前平安書道会会長)
七、産地府県地図を掲載して、その産地を示しています。
八、商品名、寸法、原料、製造者、所在地、その特長、用途、製法、創業以来の歴史等を解説。
原紙包装紙に押印されている印判も縮小掲載。内容写真添付。
九、全巻英文の翻訳を掲載しております。
※『日本の心 二〇〇〇年紀 和紙總鑑』のご購入やお問い合わせにつきましては下記まで
全国手すき和紙連合会 美濃手すき和紙協同組合内
〒501-3788 岐阜県美濃市蕨生1851‐3
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