十年以上の長きに渡って編纂作業を要した『日本の心 二〇〇〇年紀 和紙總鑑』の概要については,先月ご紹介いたしましたが,今月は,去る6月19日(日)に京都ホテルオークラ「翠雲の間」にて開催された「日本の心―二〇〇〇年紀『和紙総鑑』出版記念の集い
」について,その様子と,各界からのコメントをご紹介いたします。
「日本の心―二〇〇〇年紀『和紙総鑑』出版記念の集い 」案内状から全国手すき和紙連合会会長・成子哲郎氏のコメントを抜粋
謹啓 新緑を吹きぬける風が快い季節となってまいりました。皆々様には 日々、ご清適のことゝと存じます。
今般の東日本大震災は、日本にとって戦後最大の惨禍をもたらしました。 被災者の皆様に心からお見舞い申し上げます。 と、同時に「がんばれ
日本」を痛切に実感するきょうこの頃です。
さて、悠久の時を超えて千古変わらず、日本の生活文化にしっかり根づき、今に「日本の心」を伝える和紙―その証として、十年に亘る編纂への情熱と制作スタッフの努力、さらに、日本列島に生きる秀れた漉き人はもとより、和紙文化を支える有識者各位の紙魂、紙情の総意とし、ここに、日本の心―二〇〇〇年紀『和紙総鑑』の完成を迎えました。
全十二巻に集大成された内容は、壱千余点に及ぶ全国からの紙の収録はもとより、必要な資料を過不足なく採取し、総鑑の名に恥じない重厚なものとなりました。誠に欣快の至りです。
この度の壮挙は、ひとえに二〇〇〇年紀和紙委員会の編集・運営委員各位の熱意と執念、そして各界よりのご支援、ご声援によるものであり、深く敬意を表すとともに誠に恐悦至極に存じます。
つきましては、刊行にあたり、お披露目を兼ねて皆々様との記念の集いを開催したいと存じます。古代より紙は、木綿を凌ぐ神様への捧物とされ、更には人と人を取り持つ品物とされてきました。それは手と水と、
日本の心によって作られてきたことに思いを致し、この二〇〇〇年の節目に日本中の和紙の集大成を成し遂げられたことに心より賛歎の意を表し、紙と人間社会の永遠ならんことを願って祝盃を挙げたいと思います。
何卒、下記によりご来場賜りますようご案内申し上げます。
敬白
平成二三年辛卯皐月吉祥日
世話人代表
全国手すき和紙連合会会長
成子 哲郎
京都で『和紙總鑑』出版記念の集いを開催(紙業日日新聞の記事より)
http://gyoukai.shakunage.net/kamipa11071404.html
【関西】日本の心、2000年紀「和紙總鑑」出版記念の集いが6月19日に京都市中京区の京都ホテルオークラで開催され、関係者170が参加して発刊を祝った。
会は、紙の博物館の辻本直彦学芸部長の司会で、発起人代表の成子哲郎全国手すき和紙連合会会長が「和紙業界では2000年紀を祝って現代の紙を集めて出版しようと企画が起こり11年が経った。その間に現在も廃業が統いており、幻の紙も多数出ている。その中でこの總鑑は貴重な資料として多くの方々にご愛用頂ければ幸せに思う。和紙関連の集大成と自負している。和紙は伝統産業であるが、新しい製品素材でもある』と挨拶。
2000年紀・石川満夫実行委員長が「1999年に上村芳蔵さんから20世紀に日本の姿を映す手すき和紙の集大成を残さねばとの提案があった。昭和40年頃900以上あった業者が当時は360に減り危機感があった。高度成長の中で和紙が廃れていいのかと思い、姶めたが発刊に12年もかかった。紙の収集や編集に携わった運営顧問の上村さんと事務局の阪田美枝さんのお2人の紙に対する執念と情熱、和紙を愛する心が力となり立派な總鑑が出来上がった。皆さんには、長い修練を経た手技で手間をいとわず1枚1枚漉いて頂き、41都府県から84産地、1058点を収録できた。もう一度日本の手すき和紙の美しさを認識して頂き、新しい使い方を再発見してほしい」と経過を報告。
来賓の山田啓二京都府知事代理、門川大作京都市長、井ノ口泰淳総本山誓願寺管長、大谷實同志社総長がそれぞれ祝辞を述べた後、和紙總鑑を発行した功績を讃え、2000年紀実行委員会の石川満夫、植村芳蔵、阪田美枝の3氏に感謝状が成子手すき和紙連合会会長から手渡された。
「京都大作戦!門川大作京都市長OFFICIALサイト」のブログの記事より
http://kyoto-daisakusen.jp/2011/06/19/誰もが活き活きと活動できる社会を推進%E3%80%80全京都/
10年以上に亘る編纂期間を経て,日本ならではの全国各地の手すき和紙についてまとめられた「日本の心 二〇〇〇年紀 和紙總鑑」。出版記念の集いを訪問。
日本固有の文化である全国の和紙1000点以上を集められ,和紙文化の素晴らしさを後世に伝え,世界に発信するために,科学,歴史,文学など,多彩な観点から執筆された内容。10年以上かけて編纂されました。
全国手すき和紙連合会 成子 哲郎 会長,発刊にあたり中心となった学校法人同志社 阪田 美枝 理事,上村紙(株) 上村 芳蔵 会長をはじめ関係者の皆さんの情熱に頭が下がる思いです。
長い年月をかけて日本人が各地で受け継いできた和紙文化。私も改めて京都に受け継がれる日本の伝統を守って行きたいと胸に刻みました。
※『日本の心 二〇〇〇年紀 和紙總鑑』のご購入やお問い合わせにつきましては下記まで
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