2012年1月・全和連ニュース


  2012.1.10

 

 

年頭の辞 −2012年は和紙業界の新たなステージへと踏み出す体制づくり−

 

  二〇一二年の幕が切って落とされました。皆様におかれましては,つつがなく新年をスタートされたこととお慶び申し上げます。

 私こと成子哲郎が全国手すき和紙連合会の会長の任を引き受けて以来,はや六年。その間,和紙業界も他の伝統産業と同様,生産額の急激な下落に加え高齢者の廃業が続いております。そのいっぽうで,近年,「紙すきをしたい」と和紙業界の門を叩く若者が,少しずつ増えてきております。我々としましても大変ありがたいことで,しっかり指導してゆくことが大切であると肝に銘じております。

 多くの和紙生産者には,依然,苦しい経営状況が横たわっている現状ではありますが,全国の産地とのつながりを生かし,情報交換を行ない,明るい展望が持てるようにしてゆきたいと考えております。また,このたび伝統産業では初めて,伝統和紙の推進議員連盟を作っていただき,和紙にかんする様々な要望を積極的にお願いしているところです。

 成熟したこの日本は,「工業中心の経済社会」から脱皮し,「日本古来から根付く文化を重視した社会」へと移行しようとしております。そこで我々としましては,「日本古来から根付く文化」としての和紙の世界を礎にして,「21世紀を生きんとする現代の文化にもフィットした新しい和紙の可能性」を,多くの方々との出逢いや見識をとおして追求していきたいと考えております。

 二〇一二年における全国手すき和紙連合会のテーマは「和紙業界の新たなステージへと踏み出す体制づくり」です。業界の枠を超え,今一度,皆様にご協力をお願いいたしまして,新年のご挨拶とさせていただきます。

 

 2011年 元旦

           全国手すき和紙連合会会長  成子哲郎