霊峰富士の見える所で手仕事をしたいという希望から、内藤恒雄氏が昭和51年(1976)静岡県東部芝川町上柚野に柚野手すき和紙工房を開いたのが、駿河柚野紙の始まりです。
内藤恒雄氏は、東京に生まれ育ち、高校時代から美術工芸に関心を持ち、特に大学時代のカナダ旅行の体験から「日本独自で世界に誇れる手仕事」としての手漉き和紙を、自らの仕事と志しました。
大学を卒業後、埼玉県小川、島根県八雲、岡山県倉敷で6 年間手漉き和紙の技術を習得し、自らの工房で独立した後は、固定観念にこだわることなく、試行錯誤を重ね、独自の手漉き和紙製法を追求しています。 |
駿河柚野紙は、自家栽培コウゾ、ミツマタ、ガンピなどの木の皮を主原料とし、永久保存にも耐えられるよう薬品漂白を避け、素材の持つおだやかな色合いを生かすよう心がけています。
自然環境の中で太陽の光と水の恵みを受け、竹簀(たけす)・萱簀(かやす)を使用し、すべてトチ材の干板による天日乾燥で仕上げるので、鉄板乾燥とは違い、干板と共に呼吸し干し上がった紙肌はしっとりとした風合いと光沢を持ち、落ち着いた味わいがあります。
和紙はあくまでも素材であるという考えから、使い手の希望に合った原料、製法により、オリジナルの和紙を制作しています。 |