06.04.04up

・・・・・アワガミファクトリーが発行するニュースレター 2006 Spring Vol.19 が届きました。
一部をご紹介します。・・・・・

パッケージデザイナー
饒平名克郎さんの巻
プロフィール
神戸市東灘区在住。
日々、少しのお酒を
楽しみながら仕事、
創作活動を続ける。


酒を包む灯り
今回は、パッケージデザイナーの饒平名克郎さんにお話をうかがいました。普段、お仕事柄、洋紙を使うことが多い饒平名さん、和紙をどのようにお使いなのか、非常に興味深いです。

Q1 はじめに、和紙を使うようになったきっかけを教えてください。
パッケージデザイナーという仕事柄、洋紙は常に使っていました。そのかたわら、数年前から時計や灯りなどを作るようになり、以前から興味のあった和紙を使い始めました。パッケージの仕事と違い、コストも量のことも考えずに使う和紙は、洋紙とは全く違うものでした。
Q2 それまで使われていた洋紙と比べ、和紙の使い心地はいかがでしたか?
思っていた以上に、使い心地はよかったです。大きなタペストリー型の時計を作ったとき、洋紙だと裂けてしまうような切り込みを入れても、和紙だと大丈夫なんです。繊維が絡まっているからでしょうね。和紙は、この「頑固さ」がいいんです。(笑)
Q3 その利点を活かして今までいろいろな作品を作って来られたんでしょうね。
張り子のような灯りを作りました。酒蔵のイメージの灯りを作るときに、日本酒の瓶に和紙を小さくちぎって水にもどしたものをどんどん貼り付けていき、「はりぼて」のようにして、中に灯りを入れました。また、一枚ものの手漉きの紙「びざん」を使って灯りを作ったときは、紙だけで立つようなものだったのですが、あれを、洋紙でしようとすると、おそらく灯りにならない、と。和紙は、厚みがあっても、ちゃんと透けてくれるんです。
Q4 最新作を教えていただけますか?
最近つくった和紙の「花器」は、折りたためて郵便でも送れます。ちょうど入院しているときに作っていて、看護士さんに、紙なのに水がもれないことに驚かれました。2月には、パッケージもしている、チョコレートメーカー、「ゴンチャロフ」さんから、バレンタインのディスプレイも依頼され、和紙を使っています。
Q5 饒平名さんの作品は、バラエティに富んでいるのに、共通点がありますね。
紙を折ったり、切込みを入れたり、湾曲させたり、と紙の力だけで作ろうとしているところですかね。パッケージの仕事をしているからでしょうか。和紙には、他の素材に頼らなくてもよいほどの、強さとしなやかさがあります。そしてやはり、頑固さ。「わしは頑固や!言うてな。ハハハ。」←*注:シャレです・・・。

和紙の花器「心癒花紙器」(こころゆかしき)

プロジェクトXX(ダブルエックス)
『巨大和紙に挑む。(現在進行中)』
写真家Gregory Colbert氏より、私たちが『グレゴリーペーパー』と呼ぶ巨大インクジェット用紙のオーダーが入った。今回は更に大きい。早速プロジェクトチームを作る。果たして、2.4×5.1mの紙が出来るか?出来ないと言ってしまえば出来なくなる。アワガミの良いところは出来ないと言わないことかもしれない。
まずは、道具の手配。網、簀桁、そして乾燥板。いつもの木工所に問い合わせするが、乾燥板に使う板が2.4mしかなく、これを加工して大きくするのは無理、とのこと。2.4mの紙を2.4mの板に貼るのは不可能。結果、桟を足すことで解決する。只、よくこの寸法になったものだ。1cmでも大きければこの幅の板がない。問題は枚数。乾燥板は一日の精算枚数の倍必要。多分、この大きさでは一夜では乾燥しない。ということは乾燥板の数と場所がいる。更にもう一つの問題が浮上。木工所内で簀桁を作ると工場から出ないという。一度組み立てて、分解し、会館で組み直すしかない。しかし、作業場はこの作業でいっぱいになる。出来上った紙の保管場所がない。・・・・・・数日後、道具ができあがり、試作を行なう。これがうまくいけば本番だ。解決していない問題を抱えながらだが前へ進むしかない。
(文:藤森洋一)
アワガミワールドトピックス
タイ北部の小さな街にある紙工場を見学してきました。タイでは和紙風の紙のことを「サーペーパー」と呼び、カラフルな機械漉き紙、植物や木の葉を漉き込んだ手漉き紙と日本の和紙では出せないおもしろい表情の紙がたくさんあります。タイでのサーペーパーの市場は年配の方向けで、若者には人気がなく、デパートのラッピングコーナーなどではなかなか見かけることができません。日本やアメリカ、ヨーロッパでは若者から年配の方までが好まれるサーペーパーですが、国が変われば好みも変わるものですね。紙工場の皆さんはタイでの市場を増やそうと毎日試行錯誤されているそうです。
(担当:藤森 彩)
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