手すき和紙の魅力と可能性について,京都で活躍されるパネリストの熱いトークを堪能した後は,手すき和紙職人や関連業者さん,和紙愛好家が,一年の労をねぎらう懇親会。会場を京都駅前の「メルパルク京都」に移し,手すき和紙を通じてつながる絆で,春という季節にふさわしく「会話の花」が咲き乱れました。

 

一年ぶりに全国から集まった
手すき和紙の同志と「乾杯」!

(19:10分頃)

 

◆乾杯前のあいさつ◆

全和連会長・成子哲郎氏

「先ほど,これまでとは違った新しい形式のフォーラムならびシンポジウムを無事に終わらせる事ができ,ホッとしております。(中略)この和紙業界,後ろ向きではなく前向きに考えていかないと将来はないものと考えております。その意味で,こうして多数の参加者が集まられた事を,大変光栄に嬉しく思っております。

 今回,私の所(※注:近江和紙)は一カ所の漉き場でして,京都の皆様にご協力をいただいております。今年度の体制としまして,事務局長の阪田良枝さん,アドバイザーとして上村紙業会長の上村さん,そして宇佐美直治さん,この方々にも協力を仰ぎながら,京都では三回目の研修会ということで進めてまいります。

 こういった研修会が来年も再来年も続けていければと思う次第です。ちなみに,来年の研修会は(会場を)産地に回したいと思います。これまで以上に建設的な研修会にしたいところですが,それは皆様方の協力があってのことです。今後も理事会等で大いにアイデアを出し議論していきたいと考えております。」

(※上村紙業会長・上村芳蔵氏による乾杯の音頭/拍手の後,笑顔のほころぶ談笑が交わされました。)

 

若手の手すき和紙職人も
将来について語り合いました

(20:10分頃)

 

◆懇親会参加者のコメント◆ 
(一日を終えての感想と参加できなかった方へのメッセージ)

全国手すき和紙連合会副会長・吉田泰樹氏

「明日(16日),終わってみないとわからないけど・・・今のところ手応えは十分あったかなと。集まっていただいたパネラーの方々の話は良い話ばかりで,我々が悩んでいたことに対する一つの指針みたいなものを与えてくれたというか・・・そういう意味では非常に良いシンポジウムになったかな。

 それと伝統を守りながら継承するだけでは先に行かないわけで,やっぱり伝統というのは,それそのものを守りながらも,新しいものを生み出し,時代のニーズに合ったものを作っていくのが伝統であって,技術をそのまま引き継ぐというのは伝承でしかない。そういう点では,池坊由紀さんの話にしても非常に参考になったと思うし,おもしろかった。

 とにかく,今日(15日)参加できなかった人は非常にかわいそうだなと(笑)。」

 

黒谷和紙職人・吉野綾野さん

「今までとは違う,いろんな方面の方々が話を聞かせてくださったので,とてもおもしろかったです。私は,9年前,黒谷に足を運び『和紙を漉きたい』と言って受け入れてもらい,それから紙漉き職人として今に至っています。

 もっと若手の職人さん達が参加してくれたら,もっと全和連も活気が出てくると思いますし,みなさん参加してほしいです。」

 

蛭谷和紙職人・川原隆邦氏

「これまで3回しか参加してませんが,去年は凄く深い煮詰めた感じの話し合い(グループディスカッション)でした。今回は,重くし過ぎないでライトな感じでいろんなジャンルの意見を取り入れるという意味では良かったです。

 どこの産地も,今,凄く厳しいと思うんですけど,ここを耐えれば,きっと未来は明るいと思うので,とにかく耐えて,その後に,みんなで明るい話ができればと思っています。」

 

黒谷和紙・林伸次氏(シンポジウムのパネラーを終えて)

「(シンポジウムは)緊張しましたね。全和連というのは元々,こんな感じでワイワイガヤガヤと『うちの産地はどうや』とか『こうや』といった感じの集まりでしたが,今回,こうやって一般参加の方に向けて,どう話せばいいのだろうと悩みました。伝わったかなあ。どうかなあ。

 職人が前に出ていいのかどうか悩んでいる状態なんですけどね,苦労というか,どんなに大変な行程を経て和紙というものができてくるのかということがわかってもらえていれば,いいかなと。シンポジウムでは,もう少しディスカッションで話せれば良かったと思っています。

 『えっ!ここで終わり?!って』(苦笑)

 もう少し来ておられる方々が,どう思っておられるか,向こうからのリピートがあるのかなとか・・・時間的な余裕がなかったのは,ちょっと残念ですね。
 私のような40歳代の職人は,この世界では若輩者なんですが・・・本当に申し訳ないですけど前に出させていただいて,聞いておられた方はいろいろと思うところがあるかもしれませんが,若い人達もがんばって紙を漉いているということを理解していただけたらありがたいです。

 こうして全和連に参加しているのも,全国の手すき和紙職人さん達のおおかげで入れたわけですから,ありがたい話です。次の機会には,ぜひ,みなさんに来ていただいて,『林,あのとき何を言ってたんや』と言ってほしいです(笑)。いじめてください(爆笑)。」

 

全和連理事・中北喜得氏

「今回は広いスペースを使って伊勢の手すき和紙を使った美術作品を展示させていただきました。みなさんが,これを見てどう思われたのか凄く不安でしたが,綺麗に漉いていると言っていただきましたし,インクジェットによる印画についても評価していただいたのではないかと思っています。

 (今回参加されなかった全和連の会員の方々へ)来ましょうよ(笑)。とにかく全和連の研修会が京都で3回続き,なかなか打つ手もなくて,今回も実際に,どんなふうに見えるだろうと思うところもありました。たぶん,今回こうして参加された多くの会員にとっては全く見えなかったと思います。外へ訴えかける巧い表現がなかったものの,こうして多数の参加者があったわけですから,それが全和連の結束だと思います。次回は,もっと中味が見える形で計画が立案され,『じゃあ,これだったら行こう』と思ってもらわないとダメですね(苦笑)。

 紙漉き和紙職人の大会にとって,今日のシンポジウムの意義を考えますと,詰めが足りなかったですね。パネラーやコーディネイターは揃いました。発言はしました。しかし,それが全和連にとって何だったのか? もう少し違った形での進め方があったのではないかと思います。

 もちろんパネラーの方々からは良い意見をたくさんいただいているわけですが,もっと一般の方々が入って,全和連のメンバーが入ってという形にならなかったのが,今回のように,少し中途半端になってしまったのかもしれません。
 おそらく一般の方々にはシンポジウムの詳細について事前に伝わっていなかったと思いますし,我々,全和連のメンバーにも不透明な部分がありました。参加された一般の方々には,受付でご署名いただきましたが,その方々との交流はありませんでしたし,その場かぎりの一般参加で良かったのかな?と痛感します。

 今回はボランティアスタッフの方にも助けていただきましたし,もっと多くの人々への呼びかけが大事ですね。」

 

 

全和連副会長・房安光氏の
ウィットに富んだ会話と
三本〆で無事一日が終了

(21:00分頃)
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