三月五日、名古屋市熱田区の和紙ショップ「紙の温度」で、平成20年度全国手すき和紙連合会の研修会が開催された。主催者側の平成20年度全和連会長の成子哲郎氏より挨拶の後、元特種製紙研究員で紙の繊維分析のエキスパートで、現在、製紙研究所「宍倉ペーパー・ラボ」を主宰している宍倉佐敏氏から「洋紙から見た和紙あれこれ」と題した講演が行われた。

 

全和連会長・成子哲郎より開会のご挨拶


 宍倉氏は繊維分析の視点から、和紙と洋紙の製紙技術の歴史を概観し、和紙技術の優れた点を解説。実はこの優れた和紙の性質を研究し、いくつもの洋紙が開発されたことを紹介した。氏はその上で、現在和紙が抱える問題点として、和紙に基本的な規格がないこと、価格のヴァリエーションが少ないこと、紙漉きの人に素材や加工処理の化学知識が乏しいこと、研究開発力が乏しいこと等を指摘。問題解決には、人々が和紙に触れる機会を増やし、和紙の耐久性を活かした用途開発、ニーズを的確に掴まえる流通との共同研究開発、付加価値を生む後加工の重要性等を訴え、今度は洋紙の方法論を和紙に活かすべきだと締めくくった。明日の素材開発のヒントを探ろうと、全国から集まった四十三名の参加者の中からは、熱心な質問が出された。

 

講師・宍倉佐敏氏の講演の模様

 

 研修会の後、会場近くの寿司店で懇親会が行われ、和やかな雰囲気の元、会は終了した。

 

全国の産地から集まった参加者の皆さん

 


レポーター:「季刊―和紙だより」編集長 右衛門佐美佐子さん

 


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