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東山和紙(とうざんわし)
【所在地】 岩手県一関市東山町  
【主製品】 民芸紙・画仙紙・障子紙
東山和紙の起源については諸説があってはっきりしていませんが、一般的な定説として平安末期の文治5年(1189)に鎌倉勢に滅ぼされた奥州平泉の藤原氏の落人が、東山町一帯に土着して農耕の傍ら、生活用品としてつくり始めたといわれ、約800年の伝統があります。 文献によって知ることができるのは江戸時代からで、正保2年(1645)には2名の漉き人が記録され、その後、伊達藩の奨励により盛んになり、正徳5年(1715)には163名の漉き人がいたといわれています。昭和17年には 285名を数え、主に冬期間の副業として漉かれ、県内を始め東北各地に広範な販路を持っていました。

平成元年に東山町の無形文化財に指定されましたが、現在手漉きをしているのは 3人で、年齢は60歳前後です。後継者は3年前に1人でき、現在盛んにやっています。年間を通じて漉いているのは1人だけで、残り2人は冬期間の副業として紙を漉いています。 幸いに観光地がありますので、加工して観光客の土産品として販売しています。「紙すき館」という施設をつくり、紙漉き体験を楽しめるようになっています。
東山和紙は地元で栽培したコウゾを原料とし、独特な技法を忠実に受け継ぎ、紙質の良い素朴な和紙を漉いています。古来より「寒紙」といって、冬の寒い季節に紙を漉き、これに和紙独特の優雅な感じを表す「トロロアオイ」のネリが寒土に好条件なため紙質が良いとされています。特色はコウゾ色をした自然の色と、繊細優美、素朴で丈夫な紙質です。