06.08.29up

高志(こし)の生紙便第9号が届きました。一部をご紹介します。
 
季節は、いつもいつも僕の心構えより早くやってきて、アジサイ、しろいトリアシ、ショウマの花とピンクのシモツケソウが同じ斜面に並び、そして追い駆けるように川べりにネムの花があの淡い海苔巻きのでんぷを付けて一斉に花を咲かしている。何だか久しぶりに懐かしい友人が、突然目の前に現れたようで、僕としてはちょっとおどおどとうろたえている心気分、もうそんな季節なんだ。そうそう、生紙便も早く出さなきゃ・・・。という具合に僕のやること成すこと、計画性がないものだから、身の回りの人にいつも迷惑を掛けてしまう。もともと、子供の頃から漢字と計算が苦手だったのだが。大人になっても直、計算で答えが出てくるような生き方が嫌で、見かけによらず危ない性格でもあり、女房をハラハラさせている。
三角ちまき作り
人口、二千人余りの小さな高柳町が九万人の柏崎市と合併して一年余りになる。少しずつ諦めに似た無気力感が漂い始めている。少しずつ諦め慣れするしかないのか。そんなことはない。何とか踏ん張らなきゃ。五年前まで我が町が合併するなどとは思いもよらなかった。話があったときは、強い抵抗感だけだった。その時、日本の国の借金は七百兆円に膨らみ、地方が三百兆円合わせて一千兆円もの借金はまだ増え続け、孫、子の世代まで迷惑を考えると同じ日本国に住む一人として、その責任をどう取るか・・・。迷いに迷った結果、合併しながらも旧高柳を自治区に設定、全市的な仕事は中央で、高柳地区固有の事業は、高柳が決めて行なう方向で(国の地方制度調査会でもそのような提言をまとめて下さった。)合併協議を何度も重ねて(僕も住民代表の委員だった)旧高柳町に自治区を設け自治法上の事務所を置くことで文章は交わされたのだけれど、今までの役場のようにかゆい所に手の届く気配り行政から、痛い所だって手の届かない縦割り行政、これが多分大きな市の一般的な行政というものか・・・と思い知らされている。もちろん悪い所ばかりではなくシステムとして改善されている所もあるし、今年の大雪でも大きな力で助けてくれる所もある。一言で言えば旧町の行政には心があった。現在は事務レベルた強すぎてYES、NOがはっきりしている。ケース・バイ・ケースは許されない。ここ一年間、柏崎式行政に慣れるのに翻弄された感がする。地震の後の二回の水害と大雪と自然にも試されている。
農村の高柳らしい高柳を残すことが新しい市の財産でもある訳だから、僕らは奮起しなければならない。
事務レベルの行政ではこの高柳が死んでしまう。旧町民の心を一つにして政策としてぶつけなければならないし、我々もその努力を行動で示さなければならない。自分自身、この変動の時代縁あって、地域自治組織や地域振興委員会、交流観光等深く関わる立場にあるのだから、後世に対してその任は重い。ただそのための会合などの夜の半分を駆けずり回っているのに思うように展開できなていない。まだ急所が見えていない気がする。どう組み立てて進めば良いのか。
文月十五日 小林康生



生紙ギャラリー 作品紹介
山田順子 「雷 雲」

山田順子さんの立体の和紙オブジェは、迫力と女性らしいやわらかな和紙を行く住にも重ねた雪晒し紙の光沢を生かして下さる、作り手にとってありがたい作品でした。
本田保志 「みつばあけび」

伊豆大島の本田さんとは三十年近くも門出和紙を使っていただいている木版画作家です。
様々な草花や椿を中心に、新作はどんなものが届くか楽しみです。
「高志の生紙工房」からのお知らせ
【見学、製品ご希望のお客様】
○見学(説明)は無料です。(団体でお越しの場合は事前にご連絡下さい。)
○説明の所要時間は30分程(門出和紙のできるまでのビデオ15分含む)
○最初に工房スタッフに申し出てください。係りの者がご案内申し上げますが、作業の都合等により即対応できず、しばらくお待ちいただくこともありますのでご了承下さい。
○当工房は生産施設でもありますので、道具や原料、製品等には触れないでください。
また、作業中のスタッフに話しかけることもご遠慮願います。

【体験プログラムのご案内】
○体験は前日までに申し込んでください。(団体の場合は早めにご予約下さい。)
プログラム 詳  細 所要時間 料  金
紙漉き
(10枚以上から受付)
半紙判(39cm×27cm)便箋2枚
取判(伝統製法による素材としての紙作り)
約40分 基本料金3,000円+300円(1枚)
他 送料実費
紙流し
(5枚以上から受付)
半紙判の網枠に和紙原料を流し込む(草花を入れるなど作品としての紙作り) 約30分 1枠(1枚)500円〜
他 送料実費
折染め
(10枚から受付)
お買い上げ頂いた和紙を折りこんで染液の中に浸し染にします。(染めた紙は当日お持ち帰りができます。) 約40分 紙代 菊判(92×62cm)500円〜
基本指導料(染料代含む)御1人様300円

※紙漉き、紙流しの紙は、乾燥して後日発送となります。送料実費を含め請求書を同封しますので、郵便振替払込用紙にてお支払お願い致します。


○○○ 生紙工房の開館時間と休日
午前9時〜午後5時まで
(正午〜午後1時まで休憩)
休館日は第3日曜日と祝日


「生紙工房」と「生紙便」に関するお問合せは下記まで
越後門出和紙 小林康生
〒945-1513
新潟県柏崎市高柳町門出
Tel 0257-41-2361
Fax 0257-41-3024
メール info@kadoidewashi.com
URL http://www.kadoidewashi.com
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