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伊具郡は、奈良・平安時代の奥羽拓殖の太幹線であった阿武隈川が中央を流れ、河舟による物資の流通が盛んな地域でした。山多く水清らかな伊具の地は、地形、コウゾの生育状態、水質の良さなど、古くから流域の山沿いで紙漉きが始められていました。
5の日、9の日に丸森では紙市と楮市が開かれ、大いに賑わったといいます。
藩政時代には200戸もあった紙漉き農家も、明治30年以後、養蚕業の発達に伴ない急激に減り、丸森の紙市も自然消滅しました。現在は
2戸を残すのみです。
紙の質は昔と少しも変わらず、伊具産の和紙特有の張りのあるなかにもふくよかな味がよく出ており、平安時代の陸奥紙(みちのくがみ)を思わせるうるわしい和紙と言えます。 |
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